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2016/11/25

2016シーズンを振り返って

田中将大の2016年シーズンが終わった。先発のみで31試合に登板し、199回2/3を投げて14勝4敗、防御率3.07。メジャー3年目にして初めて規定投球回数をクリアし、今季チーム最多の勝ち星を稼いで防御率はア・リーグ1位のブルージェイズのサンチェスにわずか0.07差の3位。田中自身「ローテーションに穴を開けることなく投げられた。(過去2年より)ステップアップできた気持ちがある」と、胸を張れるシーズンだった。田中が登板した試合のヤンキースの成績は23勝8敗。チームの勝利に大いに貢献した。

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今季の初登板は4月5日の本拠地でのアストロズ戦。2003年、04年のドジャース・野茂英雄に続き日本人メジャーリーガーで二人目の2年連続開幕投手となった。相手のアストロズには昨年のワイルドカードゲームで2本塁打の2失点で敗れている。大事な開幕戦であり、雪辱戦でもあった。

気温2度の寒さのなか、地元ファンの歓声を背にツーシームを軸に相手打者を打ち取っていく。五回を終えて2―1とリード。六回も2死とする。だがここで3番のコレアにスプリットを右越え本塁打されて追い着かれる。次打者に四球を与えたところで交代した。5回2/3、2失点で勝敗なし。チームは3―5で敗れた。手応えを感じながらも「最後の本塁打が余計でした。悔しい結果となりました」と、反省のスタートになった。


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今季初勝利は3試合目の4月17日、地元でのマリナーズ戦だった。相手の先発は楽天の先輩、岩隈久志。メジャーの公式戦で日本選手同士が先発で投げ合うのは12度目だったが、元チームメートどうしは初めてのことである。ふたりにとってもファンにとっても楽しみな一戦だった。

試合は田中が一回にいきなり1点を先制される。それでも粘り強く投げて7回3失点(自責点は2)。岩隈が7回4失点でヤンキースが4―3で勝った。田中が勝利投手になり、岩隈が黒星を喫した。「お互い長いイニングを投げられてよかった」と言った田中。岩隈は「田中が丁寧に投げているのを見て、負けないように低めに投げた。おかげで六回、七回と無失点で、次回につながる投球ができた」と、田中から刺激を受けたことを口にした。田中も岩隈も、それぞれに収穫を手にした一戦だった。岩隈とは8月24日にも投げ合った。このときも7回無失点の田中が、6回3失点だった岩隈に投げ勝った。


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安定したピッチングを続けて4月と5月は計10試合で3勝無敗。オールスター前の前半戦を6勝2敗、防御率3.23で終えた。しかしチームは波に乗れずにいた。4月に8勝14敗と出遅れたのが響き、前半戦は勝率5割ちょうど。ア・リーグ東地区5球団中4位であり、地区首位までは7.5ゲームもの差があった。

人気球団ゆえ毎年優勝を狙うことが義務づけられているヤンキースだが、今季は将来を見据えて7月から8月にかけてチームの再建に着手した。中軸打者のベルトラン、先発投手のノバ、救援投手のチャップマンとミラーといった主力を次々にトレードで放出し、代わりに若手を獲得した。また3番打者として2009年のワールドシリーズ制覇の力になったテシェイラが8月5日、今季限りでの引退を発表した。通算696本塁打のロドリゲスは8月12日のレイズ戦を最後に現役から退いた。


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チームは大きく変わった。ただ、環境が変化するなかでも田中は自身の仕事に集中し、しっかり調整を行って力投を続けていった。8月2日のメッツ戦で今季4敗目を喫したのを最後に黒星なし。その後は7勝無敗だった。8月以降は正捕手だったマッキャンに変わって新人のサンチェスとバッテリーを組むことが多かったが、その7試合で防御率1.94。息が合って好成績を残した。

若返りを果たしたヤンキースは8月に17勝11敗と勝ち越し、一時ポストシーズン争いに加わったが、結局は地区4位に終わった。田中は終盤の消化試合で登板を回避。9月21日のレイズ戦で、プロ入り後自己最多の1試合4本塁打を浴びながら6回4失点で今季14勝目を挙げたのが最後の登板になった。オールスター後の後半戦は8勝2敗、防御率2.83。安定感が光った。

メジャーで一流投手の証しとされるシーズン200投球回にはアウトひとつ足りなかったものの、シーズンを通じてフルに活躍することができた3年目だった。

  • 2016/11/25